今回は、Running Music Box Vol.1 - Psychedelic Runningに続く、サイケデリック特集にしたいと思いますが、直球のサイケデリックは1つだけですかね。まあ、ひねりが効いているということで。ジャンルはバラバラですが、自信を持っておすすめできるバリエーションで、今回も突っ走ります!!
DJ 光光光 – Planetary Natural LoveGas Webbin’199999
BoredomsのEYヨが1999年にリリースした究極の何でもありの無限大トランスミュージックの極地。ジャンルはもはや、垣根なし。ガバ、ドラムンベース、ハウス、キワモノのディスコダブ、45回転にピッチアップされたサンバ・デジャ・ネイロ。エフェクトはこれでもか、というほど過剰に加えられ、つなぎもテンポ合わせがなんぼのもんじゃい!!という潔さですが、その分、次に何が出てくるかわからない恐ろしいミックスです。アルバムの解説は旧ブログのこの記事を参考にしてください。
Planetary Natural LoveGas Webbin’199999 / Array / CD ( Music )
日本クラウン( 1999-11-21 )
定価:¥ 2,520 ( 中古価格 ¥ 1,200 より )
さて、このミックスは強烈すぎます。あまりにも刺激が強すぎるので、パワーが弱っているときには絶対に聴いてはいけません。当然、この音楽に合わせて、スローに走って流そうなんて考えても無理!!です。スピードランニングあるのみです。特に前半は。とにかく、頭を真っ白にして、音楽に身を委ねて、この滅茶苦茶なビートで、やっぱり脳みそがグチャグチャになって、それでも、走っている。そういう快楽を生み出すための音楽だと思います。したがって、秩序よく、ペースを保って冷静に走りたい人には向きません!!そういう人はこのCDはさっさと飛ばして、次の項目に移りましょう。
謎のハンドクラップと足音で構成された女性ボーカルものから、一転してムードを変えて四つ打ちに変えたり、YMOの使い方も素晴らしい。Liquid Skyのジャングルのところなんて涙が出てきます。45回転の高速回転のビートなんて頭打ち付けて死にそうになります。
後半は、今で言うところのDisco Dub的な流れになってきますが、リラックスは一切できません。あまりにもぶっとびすぎて。オルゴールが鳴るフィナーレなんてもう頭がどっかに行って、もうどこにももどってこれないかも。。
つー、わけで、これは正統派にアシッドですね。俺は、これをアシッドの正統と認定します。
Kentaro Iwaki A.K.A. Dub Archanoid Trim – Izanai
さあ、本当に純粋に気持ちよく異次元の扉を開けたいのなら、このアルバムですよ!!!岩城ケンタロウの超やばいノンジャンルのミックス。全編、なんとも不思議な位相のエフェクターが使われており、綺麗に音が聞こえているには、どこか音が遠い、夢幻のような心地のCD。鳥の鳴き声などの自然音が混ざり合い、果実を口にふくむような快楽に満たされたCD。
izanai / kentaro iwaki a.k.a. dub archanoid trim / CD ( Music )
mule musiq( 2005-09-24 )
定価:¥ 2,730 ( 中古価格 ¥ 777 より )
お客さんの話し声もディレイがバンバンかかっていますが、これはミックスの内容と別に録音されたものを重ねているのでしょう。そのようなエフェクトの使い方のさじ加減も素晴らしく、まさに「誘い」というアルバムの意義のとおり、異次元の扉を開く名ミックスです。スピードランニングには向きません。ゆっくり走りましょう。固いこと考えずに。民族音楽からハウスに展開するところも素晴らしく、Idjutの曲で、昇天!!!とにかく、彼は「わびさび」を知り尽くしていると思います。それゆえに、このCDは重たい足を足取り軽く、気兼ねなしに、前に進んでいく一助になるのです。
でも、このアルバムは最後70分まで聴いて意義があるのですよ。ぜひ、ロングランで聴いてみてください。なぜなら、Mice Paradeの超名曲「All Roads Lead To Salzburg」が最後に収録されているから。ダンスミュージックではないですが、ちゃんと4つ打ちセンスで対応できる癖に、ダブルドラムとミニマルな音響で奏でられる流麗なギターなサウンドといい。そして、このアルバムに満たされたエフェクト加工といい。Mice Paradeのアルバムでもこの曲は聴けますが、この素晴らしさはこのCDで無ければ聴くことはできません!!最後の観客の会話に溶けてしまうエンディングもすごすぎる。ギターがアルペジオを奏でた瞬間、両手を挙げること請け合いです。
Godspeed You! Black Emperor – Slow Riot for New Zero Kanada
カナダの政治的なメッセージ性の強い音楽を奏でる、轟音アンサンブルのEP。アルバムの説明はこちらを参考にしてください。
Slow Riot for New Zero Kanada / Godspeed You Black Emperor / CD ( Music )
Kranky( 1999-04-06 )
定価:¥ 1,084 ( 中古価格 ¥ 1,979 より )
彼らにはいわゆるドラッギーな快楽というのは、ほとんどありません。あくまで真面目なアンサンブルによって静かなところから頂点を迎えるエクスタシー、というのが、ランニングにある種の忍耐と快楽をもたらすのではないかと思います。EPサイズで27分という尺であることから、短い時間でも使いやすく、ランニングの速度を問わないところもいいですね。まあ、基本6/8拍子ですけど、ちゃんとランニングできますよ。途中、ノンビートになっちゃうし、政治的な語りが入ってきてしまったりするんですけれど、そういうところで素に戻って、自分の息遣いとかを意識したりするのも良いものです。なんか、そういうところも含めてこのアルバムの意義があるというか。ランニングにおいては。
それから、静かに一つ一つ楽器が加わっていき、ぐわーっとアンサンブルのどうしようもぶつけようのない怒りをエネルギーに変換していくのです。これは、真面目にやったら、とてつもない快楽をもたらしてしまった、という典型だと思います。俺のようなヨレタ人間が聴いても、もちろんOK。でも、このシリアスさとアシッドランニングは実に絶妙だと思っています。
Tortoise – TNT
言わずと知れたポストロックならこのバンド、そしてアルバムならコレ、という教科書的にあまりにも当たり前すぎる一枚。
内容は当然ゆったり目なので、そういうランニングにはまるでしょう。 あまりビートを強調しない箇所が多いですからね。1曲目の「TNT」のあまりも有名な名フレーズからして、足取りが軽くなる感じがします。次の曲だと、シリアスな非常に音響的な楽曲になりますが、そういうところもトンネルをくぐっているような感覚があって、飽きさせません。独特のナイーヴさがアルバム全体にみなぎっていて、でも、それがランニングという行為にはまってしまう。
個人的にイチオシな曲なのは「The Equator」。
このチープなリズムボックスの上に奏でられる荘厳な宇宙。シラフでも風にさらわれてしまうかのような錯覚に陥る、あまりにも出来すぎな落とし穴。
とにかく、走ることに焦らなければ、捨て曲がないアルバムです。移り変わる風景も味方にしましょう。出来れば、日本版の入手をおすすめします。竹村ノブカズのRemixも素晴らしいですから。
最後に
私は一貫して、ランニングに対してトランスを要求しており、トリップを要求しており、同時に、日々の(といいつつ走らない日の方が多いくらいだが)鍛錬としての地道な足取りを求めています。サイケデリックと言う言葉ひとつにしても、もはやLSD(強調しておくが、Long Slow Distanceの意味ではない)によるトリップを念頭においた60年代の感覚は彼岸の彼方に遠のいてしまいました。ランニングによるハイという現象もありますが、そういうことに出会えることは、まずめったにありません。走っても、全くノレない、家について不機嫌になるぐらいのひどいランニングもしばしばです。もはや、サイケデリックはこの2010年において、なんの変哲もない意識の変容を表した、凡庸な言葉に成り下がっていることは事実です。現代は音楽の興味もない普通の人が、元はLSDから産み出されたアートを何の不思議もなく受け入れてしまっている時代です。ならば、俺のようなフリークも、何でもありにしてしまえばいいんじゃないか、そう思ったのが今回のテーマです。
しかし、せっかく走るのだから、いつも走るルートを違った形で光に満ちた世界に変えたいじゃないですか。ですから、引き続き、このブログではランニングと音楽の組み合わせによる新世界を紹介したいと思います。「新しい発想は、結局組み合わせの問題だ」というじゃないですか。とりあえず、今はそれを愚直に守る時期だと思っております。















