Area – ARE(A)ZIONE

70年代にイタリアで活躍していたプログレッシブロックのバンド、Areaの1975年のライブを収録したアルバム。ジャズ的なアプローチをするバンドは数あれど、Areaは地中海の土着的な音楽へのアプローチや脅威のボーカリゼーションをするデメトリオ・ストラトスの存在などの特色を持っており、かなりアクの強いバンドです。

アレアツィオーネ“アレア・ライヴ”(紙ジャケット仕様) / アレア / CD ( Music )

ストレンジ・デイズ・レコード( 2007-07-25 )

定価:¥ 2,940 ( 中古価格 ¥ 1,960 より )


即興的に行われる部分も数多く、フリーな演奏も繰り広げられています。メンバー全員の技術力が異常に高く、しかも、皆キレの良いプレイを繰り広げていることから、緊張感の高い雰囲気が出ていて、手に汗握るという表現がぴったり来ます。どの曲もかなり複雑な変拍子が使われているものの、なんとなくメロディが印象的で耳に自然と残る気がします。

1曲目の”Luglio, Agosto, Settembre (Nero)”は1stアルバム”Arbeit Macht Frei”の冒頭でいきなり度肝を抜いたあの曲です。スタジオ盤ほどの完成度はないものの、中間部の混沌とした雰囲気がスタジオ盤にはない感じがしていて、良いものです。

2曲目”La Mela Di Odessa”はテンションの高いハイスピードな演奏が始まりますが、まあドラムを中心にものすごいことになっています。ジャズ的なアプローチが随所に感じられますが、フュージョンというほど日和った演奏は全くせず、まさに硬派なジャズロックというところ。途中リンゴをかじる音が入っていますね。その後の9/8+10/8のリフの部分もカッコイイ。ファンクと言うには濃いグルーヴは無いのだけれど、軽快にすっとばす感じがあってノリが良いのです。

“Cometa Rossa”はいかにも民族音楽的な音階で奏でられるリフが素晴らしい。こういう細かいフレーズでもメンバー全員がピタリと合うのは驚くほかありません。ストラトスのこぶしのきいたボーカルがたまらない。喉をふるわせて歌う独特の歌唱法は存分に堪能できます。

アルバムタイトルと同名の”Are(A)Zione”はインプロビゼーションが大々的にフューチャーされており、いきなり混沌とした雰囲気で始まります。メンバーの演奏を楽しむならこの曲でしょうね。約15分という尺ですが、切れの良い演奏に乗ってあっという間に走り抜けてしまいます。シンコペーションの嵐のような複雑なビートや、かなりフリーな効果音なども配置されており、ジェットコースターと呼ぶにふさわしい展開。後半のストラトスが自由闊達に歌いまくる部分や、ビートが弱くなってからの不思議な感覚も、一般的なプログレッシブロックとは異なったバンドの態度を表しています。

最後は”L’ Internationale”で締め。これはインターナショナルという共産主義の労働歌ですね。Areaはイタリア共産党と密接な関係を持っていたそうです。しかしまあ、これも凄まじいです。普通の演奏をするはずがありません。メロディを奏でている楽器以外がドシャメシャに入り乱れています。でも、ちゃんとビートはキープしているんですよね。

ただのバリテクバンドではない、テクニックというものを超越したスリリングなプレイを聴きたい人には強くお勧めします。

Rhythm & Sound – See Mi Yah

90年代初期より、Basic Channelというレーベルで数々のダブミニマルの名曲を生み出したMoritz von Oswaldが、よりレゲエに接近した音作りを目指したユニットRhythm & Soundのアルバム。このアルバムはレゲエの世界でいうところの「ワンウェイ」という構成になっています。同一のトラックを使って、様々なシンガーがそれぞれの歌詞とそれぞれのメロディを歌い上げた曲を集めたものです。歌声が変わるだけでここまで変わるのか!と驚かずにはいられません。

See Mi Yah / Rhythm & Sound / CD ( Music )

Burial Mix( 2005-05-31 )

定価:¥ 1,736 ( 中古価格 ¥ 1,800 より )


同一のトラックといっても曲ごとに微妙に音色やエフェクト、それに抜き差しを変えているのですが、その変え方というのが本当に「すこしだけ」なのです。良く聴けばそれなりに変えているんだけれど、余計なものが一切感じられないのです。少しずつ違いを出しながらも、聴いたときの感触を見事に揃えているのは、緻密な引き算の美学によるものでしょう。

また、この曲のトラックは基本的に非常にミニマルなリズム、ベースラインから成り立っているのですが、素晴らしいループなので、聞き飽きるということがありません。Rhythm & Soundらしい、ちょっとひんやりとした感じの音質は、本作でも何ら変わるところがありません。ひんやりと言っても、冷たいシャープな感じはせず、どこかふくよかなバランスが保たれており、同時に心をゆっくりと温めてくれるところが不思議なところですね。相反する要素が成り立っています。

冒頭の”See Mi Yah w/ Willi Williams”ですが、ゆったりと心にしみいるボーカルがニクイ出来です。淡々とした調子ですが、それだけに一語一語のフレーズが頭にすっと入ってきます。5曲目の”Lightning Storm w/ Rod Of Iron”も好きな曲ですね。比較的ミニマルな曲が大半のこのアルバムの中で、割合はっきりとした曲の展開が作られています。バックビートのスネアがはっきりとした感じで聞こえてきますね。語りの部分と歌の部分のトラックの抜き差しがすばらしいです。哀愁たっぷりの歌声に後半、コーラスが被せられるところが鳥肌ものです。エコーもばっちりと決まってますね!

Rhythm & Soundでずっとパートナーとして活躍しているTikimanこと”Free For All w/ Paul St. Hilaire”が納得の出来。他のシンガーに比べるとそんなに歌が上手いわけじゃないし、前のアルバムに比べると歌い方が結構地味な感じがするけれど、やはりRhythm & Soundにはこの声が合っているんだなあ。ギターの音がかなり哀愁を醸しだしていて、隙間の多いボーカルラインともかなりマッチしています。

ダブ~テクノのラインをつなぐ、重要なアルバムだと思います。ダブ~テクノというと、一般的にテクノ寄りになっている曲が多いと思いますが、このアルバムは土臭くてアルバムのコンセプトからするとテクノの範疇からはみ出てレゲエよりになっている感じです。

かすみが掛かったような煙たい音が好きな人には、良い一日の最後を締めくくるアルバムになるでしょう。

Prins Thomas – live @ unit tokyo april 2009

最近、ディスコダブの人気も落ち着いてきたなあ、というかアウトオブファッションになりつつあるご時世ですが、皆様いかがおすごしでしょうか。俺は最近生音のものを良く聴くせいか、相も変わらずディスコダブが好きです。はい。Prins Thomasは毎年のように来日して人気は相変わらず高いようですが、なんと今年の来日のプレイがアップロードされています!全部で4時間20分を超える内容です。

http://blogs.myspace.com/index.cfm?fuseaction=blog.view&friendId=44204646&blogId=494579730

基本的に生音中心のエディットものを掛けていますが、時折電子音楽的なものを使っていたり、幅が広いですね。とにかく、横に揺するグルーヴ。DJを通して暖かみのあるファットな感じのものが多いですね。あまり変態的な感じはしないというか、全くしないんだけれど、笑顔で全てを受け入れたくなるような、嬉しいプレイ。

自分は一回も生で体験したことがないので、是非一回足を運んでみたいです。

Gavin Bryars – Jesus’ Blood Never Failed Me Yet

邦題「イエスの血は決して私を見捨てたことはない」。ミニマルミュージックの範疇に入るのかどうかはわからないのですが、ホームレスの老人が歌っている一節をループして、オーケストラを加えた作品です。この曲は1975年に20分余の尺で録音、発売がされており、1993年にCDの収録時間に合わせて再度録音しているのがこのアルバムになります。

Bryars: Jesus' Blood Never Failed Me Yet / / CD ( Music )

Point Music( 1993-08-10 )

定価:¥ 1,736 ( 中古価格 ¥ 800 より )


何百回と繰り返し再生されるのだから、ループされるフレーズは完成度が高くなければならないと思いますが、このアルバムは非常に印象深いフレーズが使われています。イエスを賛美する歌をしわがれたとても味のある声で歌っているのですが、これが声質といい、微妙に外れた音程といい、録音状態といい、とにかく非の打ち所がない素材だと思います。素朴だからこそ、何度聞いても飽きない。

歌のループに静かにオーケストラが入ってくるのですが、このオーケストラの演奏も非常にミニマルで、徐々に徐々に変化を付けていきます。深夜、静かに聞き惚れるようなムード、おやすみ前にぴったりの演奏です。聴いているとき、何も考えなくていい。でも、確実にハートに染み渡る豊かさ、暖かみを感じることができるのです。ループされている音にハマリさえすればいい。

後半はさすがに聴くのが辛くなってくるのですが、それはなんとなく後半の展開が蛇足のような感じがするからです。終盤、Tom Waitsがテープループの歌声に付き添うようにムーディーに歌い上げるのですが、素朴な味をどうも壊してしまっている気がします。Tom Waitsは好きなのですが、どうもこのアルバムのコンセプトにマッチしていないのです。

とは言っても、前半部分だけを聴くでもかなり価値があるアルバムだと思います。聴いていると人間が生きていることを考えるのではなく、感じる、そういった種類の音楽です。

Madvillain – Madvillainy

MadlibとMF DoomのタッグによるユニットMadvillainのアルバム。2004年作。トラックをMadlib、ラップがMF Doomという役割分担がされていますが、客演のMCを交えて、かなりバラエティに富んだヒップホップを聴かせてくれます。

Madvillainy / Array / CD ( Music )

Stones Throw( 2004-03-23 )

定価:¥ 1,633 ( 中古価格 ¥ 1,200 より )


2曲目の”Accordian”からして、やらかしてくれます。タイトルの通りに印象的なアコーディオンの音をループされているところに、Madlibらしい癖のあるビートが堪能できます。MF Doomのしわがれた声が訥々とラップを披露していますね。この組み合わせでこのアルバムのドープさは決定されたようなもの。

4曲目の”Bistro”のエレガントな女性コーラスの上に様々な音がカットアップされていきますが、聴いている感じはとてもエレガントでいて、下品です。続く、”Raid”への流れもいい。コンプレッサーでつぶれたような特徴のあるMadlibらしいビートがジャズ的な上物と合い混じって、ムーディなものにしています。

“Figaro”なんかもカッコイイですね。ちょっと跳ね気味のビートの上に語りかけるようにMF Doomがラップしているんですが、ギターのような音色のメロディが耳にこびりついて離れません。サンプラーを手で叩いたようなピアノも、ノリ一発でラフなMadlibらしい感じがします。

短いインストの曲ですが、”Supervillain Theme”は印象的なクラシックのようなピアノを大胆にサンプルしています。ネタ一発って感じで作っていますが、こういうのも味として聴けるのがMadlibの素晴らしいところ。

“All Caps”のちょっとオリエンタルなフレーズもいいです。MF Doomってそんなに激しいことはやらないし、スピード感もあんまりないけれど、安定感があるので、Madlibが変なことやっていても、安心して聴けるというのはあるかもな。

二人には「無骨」という言葉がよく似合う。この二人が組んだら、やっぱりこういう音になるよなあ、って素直に感心します。煙たいのが好きな人向け。

EL-P – Fantastic Damage

元Company FlowのEL-Pが自身のレーベルDefinitive Jux Recordsからリリースしたソロアルバム。2002年作。Aesop RockやBig Jussなどのゲストも参加。Company Flowの攻撃的な側面を更に尖らせたようなサウンドは、かなりロックっぽくも感じる。というか、ヘビーなロックが好きなリスナーはきっとコレも好きだ。

Fantastic Damage / El-P / CD ( Music )

Definitive Jux( 2002-05-14 )

定価:¥ 1,531 ( 中古価格 ¥ 1,400 より )


攻撃的でダークな旋律が全てを支配するアルバムだが、Company Flowで感じられた奇妙で訛ったビートはほとんど感じられない。そういう側面を期待すると、ちょっと肩すかしを食らうかも。

でも、このアルバムは今聴いても、尖っているなあ。「怒り」という感情をまさにそのまま封じ込めたようなアルバム。一音一音が妙に神経を荒ぶらせる。いらだつティーンエイジャーと大人達へ捧げたい。

Magma – Theatre du Taur – Toulouse 1975

 フランスのプログレッシブロックのバンドであるMagmaのライブ音源です。丁度、名作と名高い”Magma – Live“と同じ頃のライブらしいです。ジャズロックなんだけれど、呪術的で独特な音楽です。ファンクやゴスペルの要素も感じられるし、色々な音楽を吸収しているんですが、いわゆるごった煮のバンドではありません。Magmaという一つの音楽を作ってしまったという感じがします。

Theatre du Taur - Toulouse 1975 / Magma / CD ( Music )

AKT IV( 2005-10-24 )

定価:¥ 4,496


このアルバムのウリは”Live”では途中までカットされていた” Mekanik Destruktiw Kommandoh”がまるまる一曲入っていること。約40分弱にもわたる重苦しく、荘厳な曲です。なんというかちょっと不気味な感じのコーラスのリフレインが奏でられる前半からして異様な雰囲気ですが、なんというかSFっぽいというか、民族音楽っぽいというか、心に迫るものがあります。中盤のベースのソロからノイズ音をだしているところも”Live”よりもぐちゃぐちゃになるくらいやっていたり、後半の怒濤の超スピードで駆け抜ける7拍子などはバンドの演奏が一糸乱れないすごいもので、テンションが非常に高いです。手に汗握る緊迫感があって、とてもヘビーな感じがしますが、ヴァイオリンソロがものすごい速さで天空を駆け抜けていますし、ドラマチックなんです。あのテンポで良くもまあ演奏が合わせられるなあって感じますよ。とんでもないスピードです。再びコーラスワークが冴える最後のフィナーレなんか呆然としてしまいます。一曲聴くのに体力使いますね。

ただ、このライブ盤は非常に音質が悪く、まるでブート盤みたいです。非常にこもった感じで、かつ、ぺらぺらとしたレンジの狭い音です。演奏が良いだけにもっと良い音質で聴けたらなあ、というストレスを感じます。もったいないですね。

他のアルバムを聴いて、Magmaのパワフルな側面に興味を持った方が聴くと良いかと思います。

 

 

Mark Farina – San Francisco Sessions

西海岸ハウスを代表する存在であるMark Farinaが、同じく西海岸のレーベルであるOMからリリースした1999年発のミックスCD。

San Francisco Sessions / Mark Farina / CD ( Music )

OM( 1999-09-21 )

定価:¥ 1,224 ( 中古価格 ¥ 799 より )


昔はこういう音が流行っていたなあ、って感慨深い思いになったけれど、内容は実に素晴らしいですね。今となっては古さを多少感じずにはいられないのですが、ハウスの根底に流れるグルーヴをちゃんと掴んでいて、今でも聴くに耐えうる内容。爽やかでリゾート気分が満点です。燦々と輝く太陽を想起させるような、カラッとした雰囲気。

夜聴いても良いのですが、やはり昼間太陽が昇っている時間が良いですね。この6月ぐらいの陽気にとてもマッチします。

THANX!!!!!!!!!!!!!! 2009/06/13(Sat) Melt @ Rajishan

土曜日はMeltにお越し頂いた方々、本当にありがとうございました!!!!最初から最後まで色々なタイプの音が掛かっていたと思うけれど、みんな本当に良く踊ってくれて、そこかしこに狂気と喜びが溢れていて、すごかった。自分もお客さんとしてやばいパーティーに接していてはいたけれど、あの独特の熱の帯び方は、ちょっとなかなか見られないんじゃないですかね。その事はあの場にいた人ならわかってくれるはず。

前半戦

Kazuyoshiさんに、オショウは最初から飛ばしすぎるから、みたいなことを言われていたんで、ゆるい雰囲気でやってみました。最近、テクノばかり買っていたけれど、まずは暖かみのあるちょっと古めの音から段々とビルドしていって、ゆるいテクノに流したつもりだけれど、ちゃんとできていたかな?顔なじみの人たちが少しづつ来て、良いご挨拶って感じ。

で、Kazuyoshiさんに交代して、徐々にあげていくのかな、って思ったんだけれど、いきなりドープなテクノ攻めで、受付しながらズッコケました。これだから、大人はずるいw。いつもながら独特の重さを持ったセレクトでしたね。お酒も大分回ってきて良い感じ。プレイを聴きながら、がっしりしたテクノを中心に持っていこうと画策。

中盤戦

というわけで、しっかりとテクノでやらせてもらいました。自分はあんまり均質な感じでグルーブをキープしていくのができないので色々と掛けさせてもらったけれど、不思議とまとまったんじゃないかなあ。この辺から完全に音を溶かしていこうと思ったので、メチャクチャ変な重低音がブツブツと音を立てているアシッドとかを掛けたんだけれど、お客さんがそれでも踊っているのがすごい。正直、ここはちょっとお客さんが付いて来れなくなっても、ケジメをつけなきゃいけないという思いで掛けたんだけれど、エネルギーが高まってくるのを感じて、徹底的にやりました。

最後は、煌びやかに狂ったもので攻め。MORIさんから、プログレッシブハウスみたいな感覚のものを掛けててうれしい、というようなことを言われましたけれど、8割ミニマルで2割プログレッシブハウスみたいなやつは最近気に入っているんですよね。ドープなんだけれど、結構身体は正直じゃん、みたいな。いやよ、いやよも好きのうち。

そして、Kazuyoshiさんのヘビーなプレイ。このころからバンバンお客さんが来はじめて、フロアの雰囲気が一変していく。来るお客さん来るお客さんみんな貪欲にダンスを求めている感じ。自分のプレイからカラーをガラッと変えているのに、ちゃんとストーリーを組み立ているのが凄い。そして、それを感じ取れるお客さんが凄い。ヘビーなテクノからハウスに強引に持っていき、シカゴハウスの”Lil Louis – Club Lonely”までプレイして、またテクノに戻っていく様は、まさになにか精霊が憑依したとしか思えないもの。破綻のないグルーヴ。若い女の子がうっとりと見ていたのもうなずける。「やっぱ、DJってかっこいいよねー。」とか言われていたらしい。間違いなくKazuyoshiさんの上半期ベストであると思う。

終盤戦

3:00過ぎから再びプレイ。お客さんのテンションが生半可なものでは受け付けてくれそうにないので、もう徹底的に燃やし尽くしてやろうと思いましたよ。DJとお客さんがぶつかり合うエネルギーを感じました。あの雰囲気の中では引いたら負けじゃないですか。血管が切れても良いから昇天させるのが目標。渋いプレイなんてできないよ。パワフルで、メロディックなものを掛け倒しました。楽しかったなあ。終わると、握手を求めてくれる人もいたり、自分も良くここまでできたなあ、って思います。多分、あれをやってたのは俺じゃないよ。女の子の黄色い声援と男どものウォーって叫びがこだまする、ってのはやめられないね。

このころから、外国から来た方々も多くなっていたんだけれど、ほんとに壁なんかなかったなあ。知らない人でも酒を酌み交わすのが当然の雰囲気。空気が狂ってましたね。もう、完全に音が溶けてます。お客さんの求める貪欲さがむき出しになっているフロアっていいですね。 もっともっとっていう空気がどこにいっても充満しているから、踊りまくったし、叫びまくったし、よくわかんなくなったし、 これでもう飲めないってくらい締めくくりに飲み尽くす。みんな良く手を挙げてましたね。

Kazuyoshiさんに交代して、なんとも形容しがたい独特なジャンルレスなものを掛けてました。ああいうプレイは誰にも似てないなあ。何を掛けていても、お客さんがついてくる。Kazuyoshiさんが、テクノを掛けても、ハウスを掛けても、どっちに転んでも結局出た目はドロドロみたいな。 ドロドロにはあのラジシャンの雰囲気があってこそですね。Meltの求めていたサウンドが、あの場所でしか為しえない空気が、あそこにはあったんじゃないでしょうか。

ラスト、奥山さんのリズミカルなジャズものに合わせて、 エアドラムをすることを禁じ得ない自分がいました。 あれだけビキビキのテクノ掛けてたのに、 こんな曲でもみんなまだ踊るかーって感じで。 自分は、締めくくりにNorha JohensのSunrise(Radio Slave Remix)を。 ありふれ過ぎてて普通掛けらんないですよ。でも、その当たり前をやっても、絶対そのまま受け入れてくれるはず、 という確信がありましたから。最後の徹底的に最後の一枚まで、聴き取ってくれたのがうれしかったな。

ヘタクソだな俺。でも。

しかしながら、技術的なところで行くと、俺はダメダメでしたね。つなぎがドタバタすることも結構多くて、最近ハコでプレイしていなかったことを痛感する内容でした。ラジシャンでは下手なつなぎ方をするとブーイングを浴びるんだけれど、それもコールアンドレスポンスになってるような妙な雰囲気があって、逆に助けられた気がしました。みんなが比較的ポジティブに捉えてくれていたので、最後の方はあんまり気にしないことにしました。

 サウンド

いつもよりもデカイ音になっちゃったというか、ちょっと、ピーキーな音が出てたけど、ああいう風にせざるをえなかったんです。でも、良い感じの音でした。テクノもハウスもちゃんと良い感じにまとめてくれるのがRodecの味。Night Clubはやっぱり良いねえ。決してクリアな音じゃないのにね。いつも思うけれど、Rajishanとの相性はいいですね。 ミニマルを聴くならもっと綺麗な音を、っていう考え方もわかるんだけれど、ああいう音をあえてちょっと荒れた感じ、良い意味で下品な感じに持っていくのも魅力があるんだなあ、って感じましたね。澄んだ音だと、今回みたいな選曲はできなかったと思う。パーティーコンセプトにマッチした音だから、これで良いんです!

 

音の冥府魔道はまだまだ続く。

次回もお楽しみに!

DJ Olive – TITICACA BBQ MIX BY DJ OLIVE FOR 11:11 RADIO SYDNEY

http://djolive.podomatic.com/entry/2008-12-17T19_31_15-08_00

このサイト経由で知りました。DJ Oliveはヒップホップともひと味違うようなブレイクビーツを掛けていますが、とにかく守備範囲が広いようです。

このミックスは、なんかもう、踊れる踊れないという次元を超えています。早い話が全く踊れません。ダンスミュージックの領域を超えて、現地で録音されたような民族音楽や、不思議な楽器音などが次から次へと形を変えて、現れては消えていく。太鼓っぽいリズムのものが多く、ビートがとてもドープで、かつ、生々しい感じがしていて、まさに密林の音楽といおうか。音質もちょっとざらっとしていて良いのですよ。変拍子のものも多かったりしますが、そうでないものが割とカチッとしたビートを奏でている。。わけがありません。

お得意のレゲエっぽい曲に妙な音質の銃声が被せられていたり、爽快なシンセが効果的に使われていたり、遊び心がたくさんあります。かなり遅くて重いビートに民謡のようなものがミックスされて、穏やかなシンセがジワジワと表に出てくるところもすごいです。

 知的な感じがするけれど、あまり清潔な感じがしないというのも、この手の音楽にありがちではありますけれども。

ちょっとオルタナティブなロックの香りも漂っていますね。そういうのを聴いている人には猛烈にオススメできます。

Taicoclub 2008

今年も行ってきました。タイコクラブ。

現地についた時にはMoodmanが既にプレイしている時間帯でした。素早く、テントを張り、会場内を散策。いつもながら、このロケーションは素晴らしいですね。野外音楽堂に向かうと、クボタタケシがレゲエをプレイ中。”The Sabres Of Paradise – Wilmot”のようなテクノよりな曲を掛けていたのが印象的でした。この曲はいつ聴いても良いわ。かれこれ10年ぐらい聴いてます。

食欲がわいてきたので、再びメインステージであれこれ食事。Moodmanがミニマルっぽいのを掛けていたんだけれど、流れといい、構成といい、素晴らしいプレイでした。ステージで聴いていても、テントで聴いていてもいい音。純粋にプレイ内容だと一番良かった気がします。

その後、なんだかんだと時間を過ごしながら、SISを拝見。予想通りなプレイ。肩こりがしないようなちょっとハウスよりのミニマルのプレイ。まあ、あまりにも想像出来すぎて全く意外性がなかったんだけれど。まあ、フェスの柔軟体操としては良かったと思います。

その後、早々と睡眠を取ってしまい、強烈な音で何度もうなされる。気がついたらSquarepusherが始まっていました。ああ、Atom HeartもThemselvesも見逃した。。。Squarepusherはなかなか面白い音を出していました。まあ、元の曲とそんなに変えてはいないんだけれど、ツボはちゃんと押さえている感じ。彼の場合、曲が良いからってのもありますけどね。

そして、これから本番ということで、Ricardo Villalobosのプレイ。最初のほうの緩い始まり方で楽しませてもらいました。ただ、中盤当たりから自分が期待している方向とは違う方に行ってしまったため、ちょっとつまんない思いをしました。朝のタイコというと、ATAにしろ、Daniel Bellにしろ、結構繊細なプレイや組み立てで聴かせてくれたのですが、リカルドのプレイはなんか焦点がぼやけている感じがして、後半あまりうまくはまることが出来ませんでした。

その後の田中フミヤも期待している感じとはちょっと違うプレイで、ダンスに身が入らない。まあ、自分が今求めている音というのが、トンチキなものが多いっていうのもあると思うんだけれど、もっとハメてくれって感じたというか。まあ、自分の気分が乗らなかったんでしょう。こういう相性みたいなものはどんなパーティでもつきまとうものですね。

メインステージでうだうだしてたのを切り替えたくて、野外音楽堂のNick The Recordのプレイを聴きに行く。いつもながら、すっかり朝を迎えた時間帯では、坂を上るのにゼイゼイする。これがいいんだけどね。しかしながら、3年間プレイスタイルは変わらないなあ。やってることが変わらないんだけれど、聴いていてとても気持ちよくて、今回もハズレは無し。この安定感はどこから出ているんだろうか。ディスコダブ的なものや、ガラージっぽいのも交えつつ、会場に合ったプレイをする。センチメタルな曲を聴きながら、会場のみんな楽しそうにダンスしていたり、聴いている姿を見ていると、何度も涙腺がゆるむ。もう、飲めない、っていう限界なのに、まぶしい太陽が強烈な日差しを降り注ぐと、それでもビールを飲み続ける。体力的にもたなかったので、ずっとダンスすることは出来なかったのですが、とても良い時間を過ごしたと思います。

今年も電車で向かったのですが、シャトルバスにすぐ乗れたのが良かったです。相変わらず、電車の待ち合わせとかでアクセスが悪かったりしますが、やはり車と違って、最後まで飲んでいられる、運転しなくて良いというのは大きいですね。

なんだかんだ言っても、結構楽しめたと思います。静岡クルーとも色々楽しい時間を過ごせたし。

Madlib – On Radio Nova

http://www.stonesthrow.com/news/2009/05/madlib-radio-nova

奇才Madlibの30分ほどのミックスです。Mind Fusionシリーズとも違った、もっととりとめのない感じです。最初は軽快なジャズの調べから始まり、何とも言えない奇妙な曲を掛け始めます。テクニック的にはそれほど上手いDJとは言えないのですが、とっちらかっている割にはリスニング向けとしては不思議とまとまった感じがします。怪しい曲を選ぶのがうまいですね。おそらく、彼自身が作ったトラックも入っています。

意外な選曲では、プログレッシブロックの”Gong – You Can’t Kill Me”を掛けてその上でスクラッチしてたりしますね。なんか一瞬、日本の歌謡曲みたいなのも掛かりますが、EQバリバリにかましててかなりカッコイイです。

Fran-ky – Ocean Pacific Peace

クルーエルからリリースしてたりするFran-kyのミックスCDです。Oppa-Laでライブ録音された音源らしい。買ったのは昨年ですかね。結構経ってますが、かなり良い内容でよく聞き返しています。

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ゆるい透明感溢れるやさしい音色のハウスがつなげられています。全体的にテクノよりで丸い音色のものが多いのですが、ほどよくロックテイストなハウスも交えていて、盛り上がるところは盛り上げつつも、心があたたまる感じがします。時折、SE的に強烈に鳴らされるシンセの音が、かなり上昇度高いです。冒頭2,3曲目から爽快にかっ飛ばしていきます。ボーカルがガツッと入ってくるところが素晴らしい。

Nathan Fakeや”Gui Borrato – Beatiful Day”も使われているようですね。風船が風に乗って高く上がっていくようにゆっくりとジワジワと攻めてきます。朝方に聴いたら気持ちよさそうな選曲ですね。

ラストの曲は、Jackson 5のカバーです。まさにエンディングにふさわしい曲調ですが、そこにつながるまでの展開も良いのです。ドラマティックで遠い空に希望が見えるような良いミックスです。

Black Sabbath – Black Sabbath

ヘビーメタルの祖先として名高いBlack Sabbathの1stアルバム。しかし、いわゆるヘビーメタルに感じられるような音楽性とは、かなり違いますね。重い、暗い、怖いの3拍子揃った曲を作り続けた初期のBlack Sabbathですが、このアルバムは比較的ブルースの影響の強い音楽をやっていると思います。

Black Sabbath / Black Sabbath / CD ( Music )

Sanctuary( 2007-01-22 )

定価:¥ 761 ( 中古価格 ¥ 505 より )


トニー・アイオミが思いついた「恐怖の音楽にみんなが金を払うってのはどうだろう?」という考えが、どれだけロックに新しい命をもたらしたのかは想像すら出来ません。スラッジコア、ストーナーに限らず、陰鬱なリフや、うねるようなグルーブ、歪んだ音色、影響を受けたロックは数知れず。トニーのソロのフレージングも、オジーの猟奇的なボーカルのセンスも、ギーザー、ビルのおどろおどろしいグルーブも、このアルバムの時点でセンスが見え隠れしています。

1曲目の”Black Sabbath”からして、ものすごい。教会の鐘と雨の音のSEに導かれ不穏なスタートを切る本作は、超スローで恐怖のどん底にたたき落とされたようなリフで脳天にトラウマを埋め付けます。不穏なボーカルパートの静かな暗さから一転して、ギターが初めのリフに戻る衝撃は忘れられません。後半のスピードアップした部分の高揚感は、アイオミのギターソロで頂点を迎えます。「恐怖にお金を払いたくなる」快感が既にこの初めの1曲で、見事に表現されています。

“The Wizard”の奇妙なリフや曲展開もすごい。歌詞も黒魔術的な雰囲気が漂います。ロックでありながら、不思議な夢物語に連れて行かれるような味わいは、他ではなかなか味わえません。2ndの”Paranoid”以降には極端な形であらわれることがないセンスだと思いますので、ブルージー、かつ、重くてドロドロ、という世界を堪能して下さい。

そして、ギーザーのワウの掛かったベースのソロで幕を開ける”N.I.B.”も、名曲でしょう。その後のBlack Sabbathが作り上げた音楽スタイルの、まさに、雛形と呼べる作品だと思います。

最後の”Warning”は10分ほどある長い曲ですが、結構、素朴にブルージーな感じがして、あまり、恐怖感は感じません。でも、もたったおどおどろしいグルーブはちゃんと存在しているのです。バンドとしてのグルーブがアルバム中で一番出ている作品だと思います。曲としては、ほかの曲に比べると印象が薄いのですが。

とにかく、煙たくて、重いのが好きな人なら気に入る一枚だと思います。その後の、「ちゃんとロックした」Black Sabbathの作品が良いのはもちろんですが、このちょっと土臭い感じのサバスも、是非聞いてみて下さい。

Godspeed You! Black Emperor – Yanqui U.X.O.

カナダ出身のインストのバンドで、バンド名は日本の暴走族のドキュメンタリー映画からとられたものとのこと。このアルバムのプロデューサーはかの有名なSteve Albini。ギター、ドラム、ベースの他に、ホーン、弦楽器を数多くフューチャーしています。このバンドのカテゴライズには非常に頭を悩ませるものがあるのですが、ロックを中心としながらも、パンクのセンスがほのかに感じられたり、曲調は70年代中期のKing Crimsonのようなプログレッシブロック(特にアルバム”Red”)を思い起こさせたり。ポストロックと呼ばれる一連の流れに沿っているようにも見受けられますが、醒めたダイナミズムと言えるようなものがバンドのサウンドを独特にしている気がします。

Yanqui Uxo / Godspeed You Black Emperor / CD ( Music )

Constellation( 2002-11-19 )

定価:¥ 1,736 ( 中古価格 ¥ 1,509 より )


このバンドは商業主義に反した態度を貫いているようですし、インストにも関わらず、かなり硬派な政治性をもっているようです(詳しくはAmazonの解説を読んでみて下さい)。残念ながら、本作を最後にバンドは解散してしまったようです。過去の作品にも手を出していきたいと思います。

どの曲も最初は静かに始まっていって、ゆるやかに波を繰り返しながら、長時間掛けて轟音に向かっていく。轟音と言っても、いわゆるギターのノイズで埋め尽くされたようなロックの方程式に沿った轟音ではなく、アンサンブルとして高みに上っていく姿が轟音と呼ばれるものである気がします。

全体的に持続音やミニマルなフレーズを紡いでいくことが多いのですが、ちゃんと曲には展開があります。「Rockets Fall On Rocket Falls」の盛り上がりから、一気に3拍子にリズムチェンジしてぐっと音のトーンを落とし、その重たさを持続させつつも、ギターのトレモロで高みに登っていくなど、比較的キッチリとした曲として作曲されているように思います。2曲目を除いて、どの曲も10分以上の長尺です。この手のバンドにありがちな即興臭があまり感じられないのも、アルバムを作品主義に感じさせる一因ではないでしょうか。

曲は全体的に高揚感を伴うものの暗い感じで、美しい泣きの要素がふんだんに感じられます。なんだか辛くて泣くのをガマンしていたのが、堰を切ったように涙が溢れてくるそんな感じです。ラスト2曲の”Motherfucker=Redeemer”なんかはその点、素晴らしすぎます。前述しましたが、King Crimsonの”Starless”が好きなら、きっとこの曲も良いと思えるでしょう。