Sex Pistolsを解散した後のJohn Lydonが結成したのが、Public Image Ltd. (以下、P.I.L.と表記。)。前作”Metal Box”(あるいは、”Second Edition”というタイトルでCDがリリースされているけれど、少なくともCDに関しては内容に違いがないらしい。LPについては、ググッて調べてくれ!)で強烈な重低音とダビーなサウンド、攻撃的なギターの上に、ライドンの強烈なシャウトが重なるという超名作を発表したのですが、そのサウンドの要であるJah Wobbleが脱退してしまいます。
Flowers of Romance / Array / CD ( Music )
Warner Bros / Ada( 1990-10-25 )
定価:¥ 961 ( 中古価格 ¥ 790 より )
そして、P.I.L.は極端にベースというパートをそぎ落としたアルバムである本作を生み出すことになります。前作でも神がかり的な叫びをしていたライドンは、本作では更に呪術的なボーカルを志向しています。ベースを捨てたP.I.L.は、それまでロックには必要であったリフ(曲中で何回も繰り返されるメロディ)すら捨て去り、ドラムのパターンとボーカルだけが骨格を成す世界を作り上げました。ギターは何をしているかというと、ただノイジーな不気味な音列を奏でるのみ。ロックバンド、もしくはパンクバンドが持っていた普遍的な形態を解体してしまったという点では大きく評価できると思います。聴いてみると、なんとなくジャーマンロックのCANを思い出してしまうのは、まあ、無理からぬことかな、と思います。
曲のバリエーションとアルバムを通したクオリティという意味では”Metal Box”の方に軍配が上がりますし、馴染みやすいのも”Metal Box”でしょう。”Metal Box”は比較的アバンギャルドではあったにせよ、実は個々の曲が練りに練られており、不思議と聴きやすい感じがするのです。本作は、よりコンセプチュアルな音を目指しているあまり、個々の曲の印象が極度に薄れてしまい、なんとなくイメージが頭に残らない気がするのですね。アルバム全体の印象では強烈な印象が刻み込まれるのですが、この曲はこうだから、とか、そういうのはあんまり感じないんです。
と言いつつも、冒頭の”Four Enclosed Walls”は強力なインパクトは頭にこびりつくでしょう。「ドーントタッタドトタン、タン、タン、タン」というリズムは曲を通して一貫してプレイされ、その上に身をよじりながら歌うライドンの姿が浮かぶという素晴らしい作品です。他の曲はより宗教色を増しているし、より民族音楽的な音を奏でているし、まあ、大変なことになっています。
私は”Metal Box”と”The Flowers of Romance”しか聴いたことがないのですが、ピストルズを聴いてP.I.L.を聴いていない人には、まず”Metal Box”を、そしてこの”The Flowers of Romance”を聴いてもらって、ジョン・ライドンに対する認識を改めて変えていただきたいと強く思うわけです。イギリスではバターのCMに出演していたりするらしいですが、そういうことをしていてる彼がなおさら格好良く見えるというのは、P.I.L.の成し遂げた境地は少なくとも感じ取れてこそ、だと思います。ピストルズに恋い焦がれ、ピストルズに幻滅し、P.I.L.で大きく認識を変えて格好良く思えるというのが、ある意味正統な出世魚パターンでしょう。そう思っている私は、すでにオヤジの領域に片足一歩突っ込んでいるのでしょうか?
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