ヘビーメタルの祖先として名高いBlack Sabbathの1stアルバム。しかし、いわゆるヘビーメタルに感じられるような音楽性とは、かなり違いますね。重い、暗い、怖いの3拍子揃った曲を作り続けた初期のBlack Sabbathですが、このアルバムは比較的ブルースの影響の強い音楽をやっていると思います。
トニー・アイオミが思いついた「恐怖の音楽にみんなが金を払うってのはどうだろう?」という考えが、どれだけロックに新しい命をもたらしたのかは想像すら出来ません。スラッジコア、ストーナーに限らず、陰鬱なリフや、うねるようなグルーブ、歪んだ音色、影響を受けたロックは数知れず。トニーのソロのフレージングも、オジーの猟奇的なボーカルのセンスも、ギーザー、ビルのおどろおどろしいグルーブも、このアルバムの時点でセンスが見え隠れしています。
1曲目の”Black Sabbath”からして、ものすごい。教会の鐘と雨の音のSEに導かれ不穏なスタートを切る本作は、超スローで恐怖のどん底にたたき落とされたようなリフで脳天にトラウマを埋め付けます。不穏なボーカルパートの静かな暗さから一転して、ギターが初めのリフに戻る衝撃は忘れられません。後半のスピードアップした部分の高揚感は、アイオミのギターソロで頂点を迎えます。「恐怖にお金を払いたくなる」快感が既にこの初めの1曲で、見事に表現されています。
“The Wizard”の奇妙なリフや曲展開もすごい。歌詞も黒魔術的な雰囲気が漂います。ロックでありながら、不思議な夢物語に連れて行かれるような味わいは、他ではなかなか味わえません。2ndの”Paranoid”以降には極端な形であらわれることがないセンスだと思いますので、ブルージー、かつ、重くてドロドロ、という世界を堪能して下さい。
そして、ギーザーのワウの掛かったベースのソロで幕を開ける”N.I.B.”も、名曲でしょう。その後のBlack Sabbathが作り上げた音楽スタイルの、まさに、雛形と呼べる作品だと思います。
最後の”Warning”は10分ほどある長い曲ですが、結構、素朴にブルージーな感じがして、あまり、恐怖感は感じません。でも、もたったおどおどろしいグルーブはちゃんと存在しているのです。バンドとしてのグルーブがアルバム中で一番出ている作品だと思います。曲としては、ほかの曲に比べると印象が薄いのですが。
とにかく、煙たくて、重いのが好きな人なら気に入る一枚だと思います。その後の、「ちゃんとロックした」Black Sabbathの作品が良いのはもちろんですが、このちょっと土臭い感じのサバスも、是非聞いてみて下さい。
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