邦題「イエスの血は決して私を見捨てたことはない」。ミニマルミュージックの範疇に入るのかどうかはわからないのですが、ホームレスの老人が歌っている一節をループして、オーケストラを加えた作品です。この曲は1975年に20分余の尺で録音、発売がされており、1993年にCDの収録時間に合わせて再度録音しているのがこのアルバムになります。
Bryars: Jesus' Blood Never Failed Me Yet / / CD ( Music )
Point Music( 1993-08-10 )
定価:¥ 1,585 ( 中古価格 ¥ 3,942 より )
何百回と繰り返し再生されるのだから、ループされるフレーズは完成度が高くなければならないと思いますが、このアルバムは非常に印象深いフレーズが使われています。イエスを賛美する歌をしわがれたとても味のある声で歌っているのですが、これが声質といい、微妙に外れた音程といい、録音状態といい、とにかく非の打ち所がない素材だと思います。素朴だからこそ、何度聞いても飽きない。
歌のループに静かにオーケストラが入ってくるのですが、このオーケストラの演奏も非常にミニマルで、徐々に徐々に変化を付けていきます。深夜、静かに聞き惚れるようなムード、おやすみ前にぴったりの演奏です。聴いているとき、何も考えなくていい。でも、確実にハートに染み渡る豊かさ、暖かみを感じることができるのです。ループされている音にハマリさえすればいい。
後半はさすがに聴くのが辛くなってくるのですが、それはなんとなく後半の展開が蛇足のような感じがするからです。終盤、Tom Waitsがテープループの歌声に付き添うようにムーディーに歌い上げるのですが、素朴な味をどうも壊してしまっている気がします。Tom Waitsは好きなのですが、どうもこのアルバムのコンセプトにマッチしていないのです。
とは言っても、前半部分だけを聴くでもかなり価値があるアルバムだと思います。聴いていると人間が生きていることを考えるのではなく、感じる、そういった種類の音楽です。
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