King Crimson – USA

King Crimosonは時代ごとに全く異なった音を出していたバンドですが、その中でもとびきり力強い鋼鉄の音楽を出していた時期のライブ盤です。完全なライブ盤ではなく、1974年のUSツアーの音源に後からバイオリンがオーバーダブされている、とのことですが、そういったことも違和感なく聴かせる、すさまじい演奏です。

USA / キング・クリムゾン / CD ( Music )

WHDエンタテインメント( 2008-03-26 )

定価:¥ 1,980


2曲目の”Lark’s Tongues in Aspic,Part2″はアルバムの最初から、変拍子のリフに乗っかってパワフルな演奏をしています。演奏はアルバムのバージョンとそれほど変わりませんが、ライブならではの音質がより緊張感をもたらしている感じ。途中のポリリズムのところも難なくこなしていて、やはり上手いバンドだと思います。

“Exiles”はなんとも壮大な雰囲気が広がります。これはメロトロンのせいでしょうか。ビル・ブラッフォードのドラムに独特の間があり、硬質なグルーヴを感じさせます。ファンクというのとは違うんだけれど、アフリカンな何かに影響を受けているような気がします。そこに美しい旋律と憂いを持った音の響きが加わって、徐々に心が熱くなります。ぐっと音が盛り上がるフィナーレもいいですね。

そして、目玉は全編が即興的な演奏による”Asbury Park”です。技術力が高いです。クリムゾンであるための技術力が高い。まさのこの音楽をやるために必然的に生み出された演奏だと思います。いわゆるジャズ系のセッションとは全く異なる即興演奏で、リズム隊のキレの良い16分のビートにフリップ先生の強烈なギターが乗っかり、まあ、これはこれはすさまじいことになっています。ブリブリに歪んだベースの音色もかっこいい。全編にわたって繰り広げられるグルーヴ地獄は、聴いて身体を快適にするものではなく、ウネウネ、ブリブリの演奏に身を硬直させながら悶えさせて聴いている人に緊張感をもたらす代物であります。

“Easy Money”は正直、最初のほうの歌の部分はそれほど良い演奏とは思えないのですし、最後フェードアウトしてしまうのもどうかと。若干、フラストレーションが溜まります。

“21st Century Squizoid Man”は初期クリムゾンの演奏のほうがやっぱり曲に合っているな、と思うけれど、この時期のクリムゾンの演奏でこそ実現できる音楽性を持っているので、特に間奏の部分を聴いて欲しいと思います。両バージョンを聞き比べるのも一興。フリップ先生の移り変わる部分と変わらない部分がくっきりと見えてくるので、面白く感じますね。

そして、最後の”Starless”。この世界が暗黒に包まれてしまい虚無に帰っていくという歌詞に相応しい「最期」を想起させるような曲調と、それに対比するエネルギーの放出が矛盾した要素として、目の前に立ちはだかります。この葛藤する精神こそが、ロバート・フリップというミュージシャンの求道的な態度につながってくると思うのです。もの悲しい前半から、トーンをぐっと落とす中間部、そこから徐々にボルテージを上げていって生命を燃焼させるようなプレイを繰り広げる後半部と、一つの物語が出来ているところが素晴らしい。

このアルバムを聴くと、この時期のクリムゾンでしか為しえなかった、心が燃え尽きて空洞になるような感覚を味わえると思います。

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