Miles Davisがいわゆるエレクトリック・マイルスと呼ばれるスタイルで演奏していた頃のアルバムです。これは比較的初期の頃の作品なので、後期のように圧倒的なファンクをしているパワーは持っていません。アルバムのタイトルが”In a Silent Way”ですからね。でも、噛めば噛むほど味がしみ出てくるという点では、特にオススメしたいアルバムです。
1曲目の”Shhh/Peaceful”は、ドラムがハイハットで同じようなパターンを叩いている上に、トランペット、ギターやオルガン、電子ピアノが舞い散るようなとりとめのないフレーズを奏で続けます。どこを切ってもテンションが同じなので、聴いていてどの当たりを聴いているのがわからなくなり、いつの間にか曲が終わっている。でも、どこまでもやわらかい音につつまれた感覚が確かに残っているので、またそれを確かめるために聴き直す。それぞれのプレイヤーが控えめながら、互いの音と必ずしも同調しないような、クールな距離感を保っているのも素晴らしい。マクラフリンも弾きすぎることが無くて、それがかえって気持ちよいです。
2曲目の”In A Silent Way/It’s About That Time”は弓で弾かれた低音の上を、ギターとトランペットがゆっくりと移動していく、イントロ部から始まります。空気がドロンとしてくるような粘質な響きがありますが、やはりここでもクールですね。しばらくすると、がらりと違う曲に突然変わるので、最初のうちは聴いていて違和感があったのですが、その違和感も次第に氷が溶けていくようになくなってしまうような。ドラムやベースのシンプルなパターンの上でギターなどの楽器がクールに動くのは1曲目と変わりませんが、こちらの方が深夜向け。最後に再びイントロと同じ曲に戻って終了。
ビル・ラズウェルがエレクトリック・マイルスの時期の3枚のアルバムを選んで再編集したPanthalassaというアルバムがあります。そのアルバムを聴いていて「これはアンビエントだな」って感想を持つのは、このアルバムから抜き出された音源が大きくフィーチャーされているせいだなって感じますね。
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