1993年作。King Crimson再々結成の青写真の元、元Japanのボーカリスト、David SylvianとRobert Frippがコラボレートした唯一のアルバム。King Crimsonに取り込まれることを恐れたDavid Sylvianが加入を拒否したため、このような形式になったようです。King Crimsonは後に再々結成を果たし、”Vrooom”、”Thrak”というアルバムをリリースしますが、それらのアルバムよりも遙かにクオリティの高い内容になっていると思います。
退廃的なDavid Sylvianのダンディな歌声が、いつもよりもなめらかさを増したRobert Frippのギターと楽曲の元、素晴らしい融合を遂げていると思います。ドラムのJerry Marotta、スティックのTrey Gunnの演奏も横ノリでグルーヴィーな感じがしていて、それが更にダンディズムを深めていっていると思います。King Crimson、Robert Frippだけでは、絶対に実現のできない音世界です。
1曲目の”God’s Monkey”からして、シルクのようななめらかさによって、身じろぎできないように絡め取られてしまいます。それに相反するように、身体をよじってしまうようなグルーヴ。この曲に限らないことですが、ドラムが通常の8ビートではないですね。シンコペーションをうまくつかって、べったりとしたノリをうまく出していると思います。この曲がアルバム通してもっともセクシーなDavid Sylvianの声を楽しめます。
”Fire Power”はいかにもフリップらしいギターの音色のヘビーリフから導かれる曲。レゲエのようでレゲエでない奇妙なスローテンポ。この曲の主役はフリップのギターソロでしょう。10分強の長めの曲の随所で、印象的なプレイをしています。フリッパートロニクスのようなアンビエンスに、ロングトーンによる音色の変化を生かした実に味のある感じです。
問題作なのが、”Darshan (The Road To Graceland)”。17分強をミニマルでバウンシーな打ち込みのドラムが使用されており、ギターやボーカルが自由に曲へ出入りを繰り返していくという感じでしょうか。基本ワンビートながら、なかなか細かい部分で手が加えられています。後半戦の有機的な音の絡み合いを聴いていると、自分が何者かにとりこまれたような気分になります。
Robert Frippの音楽性からはちょっと想像の付かない方向性が生み出されていますし、クラブミュージックを聴いている人にも入り込みやすいと思います。もし、King CrimsonにDavid Sylvianが加入していたら、もっと違った方向性に鳴っていたかも知れませんね。
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