「明日また電話するよ」「夕方のおともだち」に続く、作者自選の短編集の完結編。今回の内容は特にエロの濃度が濃くて、生々しい描写が続くものが多い気がします。前2作よりも、叙情性よりも、もっと直情的なリビドーや破壊衝動、暴力性を前面に押し出しています。実験性は少なく、基本的に「脱がさないと商売にならない」というご都合的な路線に沿ったものが多いかも。
著者/訳者:山本 直樹
出版社:イースト・プレス( 2010-07-08 )
定価:¥ 1,395
Amazon価格:¥ 1,395
コミック ( ページ )
ISBN-10 : 4781603831
ISBN-13 : 9784781603834
ある日突然、目の前に神が現れ、世界最後が近づいている高校生が、世界を救済するという使命を託されたものの、結局その使命をあっさりと捨て去り、リビドーに沿って、「やりたいようにやる」狂気の道をひた走ってしまう、連作の「地球最後の日」が圧巻でしょう。世界の終わりが近づいているので、ごく簡単に人を殺め、犯し、幻聴にとらわれ、そして、奇妙な宗教団体?の一団のお祭りにたどり着く。。。ラストの描写が、コマ割りも含めて、山本直樹の本領発揮とも言える、諦観に満ちた素晴らしさで、非常に映画的な雰囲気がするのは自分だけでしょうか。
他のマンガはエロですね。ひたすら、ねちっこい変態の世界です。これは説明するのもはばかられるので、あんまり言いません。「ひどいやつらは皆殺し」は連作ではなく、タイトルだけ同じで全然別の内容ですが、マンガ・エロティクスFに収録されていたものだけあって、ストレートにメチャクチャにしています。叙情性や、(命の重みも含めた)その表現の軽さ、しなやかな身体のライン、など、なんとなく空しさを感じるものが多かった前2作に比較すると、こっちは単純にやりたい放題、やってみた、という感じです。こういう山本の側面も結構嫌いではありません。
なんとも嬉しいのが、巻末の親娘インタビュー。親娘一緒にインタビューを受けているわけではなく、娘がインタビューを受けた後、それについて、山本が返答をする、という形式ですが、まあ、こういうマンガを書いている人だけに、このような遠回しなやり方の方が、よかったのかもしれません。創作者としてではなく、普段、日常生活をしている父親としての「山本」の姿を知る事ができるのが、面白いところです。でも、その父親の「山本」の肖像が、このようなマンガを書く人間の下地になっているというか、切り離すことの出来ない何かがある、と感じてしまうんです。
女性はできれば、前2作を読んで、鍛えてからこの作品を読むのが良いと思います。「エロいけど、空しい」とか、そういうのをあこがれて読むと、絶望します。男性の場合は好みですね。衝動的で変態的なのを見たければこれを読めばいいし、もっと心に引っかかる何かを求めるなら前2作を読んだ方が良い、としか言えません。しかしまあ、最後の作品でこういう路線をぶつけてくるとは。。いやはや。
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